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大阪地方裁判所 昭和56年(ワ)4814号 判決

一 請求原因1の事実(原告が本件実用新案権((ただし、実用新案登録請求の範囲を除く))、本件意匠権、類似意匠(1)、(2)を有すること)は当事者間に争いがない。

二 被告は三次補正は実質上の拡張又は変更に当ると主張するので、まずこの点について判断する。

1 成立に争いのない甲第一ないし第三号証、成立に争いのない乙第一号証の一、同第五号証の一、同第六、七号証、同第一三号証、同第一四号証の一、同第一六号証の一、同第一七号証、同第二一、二二号証、同第二三号証の一、同第二五ないし第二七号証によれば、本件実用新案登録は、昭和四七年四月二〇日の出願に係り、昭和五一年四月二六日付拒絶理由通知に対し、原告は昭和五一年六月二五日付で意見書と補正書(一次補正)とを提出し、昭和五二年六月二八日出願公告がなされた。しかし、被告は昭和五二年七月二七日付で異議申立をし、原告は昭和五三年三月二七日付で異議答弁書及び補正書(二次補正)を出し反論したが、昭和五四年八月一日本件出願は異議決定と共に拒絶査定を受けた。これに対し、原告は昭和五四年一〇月一一日付で審判を請求し、その手続中に拒絶理由通知を受け、昭和五五年六月五日付で補正書(三次補正)を提出し、昭和五五年一〇月二七日登録すべきものとの審決を受けたことが認められる。

2(一) 前記甲第一号証、乙第七号証によれば、本件実用新案の公告公報(以下「本件公告公報」という)は別紙(一)のとおりであり、一次補正により補正されたとおり公告されたものであり、その実用新案登録請求の範囲は、

「板体と、この板体の先端に取付けとなり、ベルト表面に摺接してこの表面に附着した残留物を掻取る除去部材と、前記板体の下部背面に固定となり該板体を固定部に取付けるためのゴム等の分厚い弾性部材とを具備した事を特徴とするベルトクリーナー」

と記載され、作用効果として請求原因2(二)記載の(a)ないし(c)(被告主張1(二)(2)記載の第一ないし第三番目の効果と同じ)が記載されていることが認められる(なお、前記乙第一七号証によれば二次補正の内容は本件公告公報の内容と実質上同一であると認められる)。

(二) ところで、被告は本件公告公報の考案(以下「本件公告考案」という)の要旨はaベルトが正逆両用のものを対象とすること、bベルトの正逆いずれの走行に対しても全く同様の掻取効果を有することの二つであると主張し、原告はベルトの型式、種類は何ら限定されていないと主張するのでこの点につき検討する(なお、以下正方向、正転とはベルトがベルトクリーナーの板体の正面側から背面側へ進行することを意味し、逆方向、逆転とはその反対方向を意味するものとする)。

(三) 本件公告公報(前記甲第一号証)のなかのベルト逆転についての記載をみると、その詳細な説明中に「上記のような従来のベルトクリーナーは何れの形式の場合においても、バネ杆やスプリングによる弾性が、ベルトの正転方向にのみ作用するものであるため、ベルトの逆転に対しては充分な掻取効果が生じないと共に」(第一欄三四行ないし第二欄一行)、「ベルトの正逆何れの走行においても附着物の掻取が行えると共に」(第二欄二三、二四行)、「チツプ5のベルト10に対する接触状態がベルト10の正逆何れにおいても確実に保持される」(第三欄三八ないし四〇行)、「また、ベルト10の逆転時には第3図に示す如く、ベルト10は矢印の如く右から左へ走行する。板体2はベルト10の走行方向に押され、上部が引張りを受けて伸長すると共に、下部が圧縮を受けて収縮する変形を行い、正転時と同様にチツプ5のベルト10に対する圧接を保持するもので、ベルト10の走行方向に応じて変形する弾性部材4は正転時も逆転時においても等しい断面積を有するものである」(第四欄四ないし一二行)、「ベルトの正回転ばかりでなく逆回転時においても全く同様な掻取効果を発揮することができ」(第四欄二三ないし二五行)の各記載があり、図面の中にも同ベルト逆回転時の状態を拡大して示す側面図第3図が掲載され、そのほか、原告が一次補正の際提出した意見書(前記乙第六号証)の中には「弾性部材は板体を前後何れにも傾倒させ得るので、ベルトの正回転ばかりでなく逆回転時においても全く同様な掻取効果を発揮する」(三頁六ないし九行)との記載があり、異議申立に対する原告提出の異議答弁書(前記乙第一六号証の一)には「引例発明のものは機能的にベルトが正逆走行するものでないことが明らかである」(五頁一八ないし一九行)、「(引例には)ベルトが正逆に走行する旨の記載はない」(六頁一ないし三行)、「(引例は)ベルトの正逆走行も不可能である」(六頁七、八行)の各記載がある。

(四) しかしながら、本件公告考案はベルトクリーナーの考案であつてコンベヤベルトに関するものではなく、本件公告公報の登録請求の範囲にはベルト、或いはベルトとベルトクリーナーとの関連の記載がないばかりか、本件公告考案は従来のベルトクリーナーがベルトの逆回転時の掻取効果を持たない欠点を改良したものであるが、そのほかにも従来のベルトクリーナーは「バネ杆やコイルスプリングでは揺動の吸収効果が全くなく、上下の圧力に対して逃げがない。このため搬送物の投入等によつてベルトが緊張し、ベルトの上下方向圧力がクリーナーに作用した場合、ベルトに損傷を与えると共にクリーナー自体も破損する危険がある。またバネ杆を用いた前者の場合、ベルトに対する追従接触を良好にするため、極めて複雑な形状を採用しなければならず、従つてバネ杆の加工、該バネ杆を取付け支持する機構が難かしくなり、ベルトに対するセツト箇所もバネ杆の形状によつて制限を受け、且つバネ杆に附着した残留物によつて該バネ杆の機能が早期に劣化する等の欠点がある。更にコイルスプリングを用いた後者の場合、掻取つた残留物が該スプリングに附着し、伸びたスプリングの間にこの残留物が詰まるため、スプリングは収縮不能となり、従つてスプリングが伸びたままで効果がなくなる問題点を有している」(本件公告公報第二欄一ないし一九行)ところ、本件公告考案はかかる問題点もあわせて改良し、作用効果(a)ないし(c)を有するものとされているのであり、かかる効果は逆転時の掻取効果を除き、正方向に走行するベルトに本件公告考案によるベルトクリーナーが取付けられた際にも奏しえる効果である。さらに、意見書(前記乙第六号証)の中には正逆回転掻取効果を含め、作用効果(a)ないし(c)の記載もあり、原告は異議答弁書(前記乙第一六号証の一)の中の(イ)本願考案の要旨の中に「即ち、弾性部材を中心に言えば、本願考案は『ゴム等の部厚い弾性部材の一面に、ベルト表面に摺接してこの表面に附着した残留物を掻取る除去部材を上端に取付けた竪向きの板体の下部背面を固定する一方、前記部厚い弾性部材の取付板を固着した他の一面を固定部に取付けたベルトクリーナー』であり、斯くして本願ベルトクリーナーはベルトの正逆走行に対して支障なくベルト表面の清掃を行うことが可能であり、特にこの際部厚い弾性部材の一面には上端に除去部材を取付けた竪向きの板体の下部背面が、また前記弾性部材の取付板を固着した他の一面は固定部にそれぞれ固定せられているため、ベルト表面の掻取清掃に際し走行するベルトから除去部材に伝達される各種の作用力に対し、部厚い弾性部材を構成する全ゴム質により最も能率よくばね作用が発揮されるわけで、圧縮引張り、剪断、ねじり等に対して充分なばね特性を利用できるのである」(三頁一六行ないし四頁一三行。ただし「部厚い」はいずれも「分厚い」の誤記と認める。)と記載しており、原告が本件公告考案において正逆回転掻取効果を他の作用効果より重視しているとは認められない。

そのうえ、本件公告公報の記載をみても、ベルトクリーナーは、その除去部材、板体、弾性部材からなる構造が、ベルトの正及び逆の運転方向に対して対称性を有しておらず、実施例におけるベルト10とこれに当接するチツプ5及び除去部材3との相互の位置関係からも、第2図に示される正方向に運転されるベルトに対して最も良好な掻取効果を発揮することが明らに読みとれる。

以上の事情を考えあわせると、本件公告考案におけるベルトクリーナーは、前記(三)で認定したベルト逆転時の記載があるとはいえこれをベルトの正逆両走行に対して用いられることのみを予定したものではなく、正逆両走行はもとより、一方向(正)の走行に対して用いることをも何ら妨げるものではないものと認めるのが相当である。

したがつて、本件公告公報の考案の要旨が正逆両用ベルトを対象としたものである等とする被告の前記主張は採用できず、むしろ正逆両用のベルトであれ正方向に走行するベルトであれベルトの型式種類は限定されていないものと認めることができる。

(五) また、被告は、原告は一次補正により、出願にかかるベルトクリーナーを「正運転と共に逆運転による物の搬送に使用され、正運転時と全く同様の掻取効果のあるベルトクリーナー」に変更しているから禁反言の法則により右に反する主張をなしたり、正逆回転掻取効果とは正転時の掻取効果と逆転時の掻取効果との二態様を含むなどと主張することは許されないと主張する。

しかし、前記(一)ないし(四)記載のとおり、原告は出願手続中において正逆回転掻取効果を主張しているものの、一次補正を含めかかる主張が、考案の要旨をベルトが正逆両用のものだけを対象とし、ベルトの正逆いずれの走行に対しても全く同様の掻取効果を有することに限定したものとはいえず、したがつて原告の前記主張は従来の原告の主張に反するものではないからこれを禁反言違反と目することはできず、他に右主張することが禁反言に反すると認めるに足りる事情もみあたらない。

3 前記甲第二号証、乙第二六号証によれば、原告は別紙(二)のとおり三次補正をなし、登録請求の範囲を、

「ベルトの戻り側に設けられてベルト表面に付着した残留物を掻取るベルトクリーナーにおいて、ベルトに対し上向きに立ち上つた板体を有し、板体の上部先端には、ベルトの表面に摺接してこの表面に付着した残留物を掻取る除去部材が固定されており、また板体の下部でベルトの進行方向側背面には、該板体を固定部に取付けるための取付板を固着した且つ該板体の巾とほぼ等しい幅のゴム等の分厚い弾性部材が固着されていることを特徴とするベルトクリーナー」

と全文補正し、作用効果として請求原因2(二)記載の作用効果(d)(被告主張のいわゆる案内保護効果)を追加したことが認められる。

そうすると、本件考案は三次補正により正方向に走行するベルトを対象としたベルトクリーナーになつたものと認められる。なお、右補正によつても本件公告公報中の逆回転時の記載は削除されていないが、原告提出の昭和五五年一月三〇日付審判請求理由書(前記乙第二四号証の一)中の「因みにベルト(10)の逆転時には前記効果を奏し得ないが、ベルト逆転はコンベヤの保守整備等の限られた場合であつて稀であるばかりか、このような保守整備を行なう場合はコンベヤに運搬物(A)が積載されておらず、残留物(B)の落下による弾性部材(4)摩損の問題を生じるには至らない。また、正逆両用のコンベヤにおいてはコンベヤの両端側の下側に既述した板体(2)を互いに外向きにした一対の掻き取り装置部分を併装するものである。」(八頁一七行ないし九頁七行)との記載に照らすと前記のとおり認められるものであることは明らかである。

4 そこで、本件公告公報の内容と三次補正の内容を対比すると、三次補正の登録請求の範囲はベルトと板体の関係、ベルトの走行方向に対する弾性部材の位置関係及び板体の巾と弾性部材の巾との関係について限定を加えたものであり請求の範囲の減縮に当るということができる。その結果本件考案は正方向に走行するベルトを対象とするベルトクリーナーとなつたが、本件公告公報における正逆両方の走行についての記載は、考案の対象を正逆両用のベルトコンベヤーに限るものではなく、走行態様がその一に包含される正方向に走行するベルトをも対象としていることは前記のとおりであるから、三次補正により補正された登録請求の範囲は本件公告公報の登録請求の範囲内であり、三次補正は実質上の拡張又は変更には当らない。

更に、被告は作用効果(d)の追加は実質上変更に当ると主張する。しかし、前記甲第一号証、乙第一号証の一、乙第七号証によれば、作用効果(d)(いわゆる案内保護効果)については当初出願の際添付の明細書に記載され、一次補正で作用効果から削除されたものの、一次補正書及び本件公告公報中「本考案の他の目的は、……、更に残留物が要部に附着堆積することのないベルトクリーナーを提供するにある」(一次補正書三頁一五ないし一八行、本件公告公報第二欄二七ないし三〇行)と記載されていることが認められる。そうすると作用効果(d)の追加は新たな別の目的効果の追加ではなく、従来から明細書に記載のあつた事項について作用効果として明記したにすぎないものであるから不明瞭な記載の釈明に当るということができる。したがつて作用効果(d)の追加が本件公告考案の実質上の変更をもたらすとする被告の主張は採用できない。

5 よつて、三次補正が実質上の拡張又は変更に当るとの被告の主張は採用できず、したがつて、実質上の拡張又は変更を前提として登録請求の範囲を実施例のとおり限定しようとする被告の主張もまた採用できない。

三 また、被告は三次補正後の公報は相矛盾する事項を含んでおりその技術的範囲を確定することが不可能であり当該権利を行使できないと主張する。

前記甲第一、二号証、乙第二六号証によれば、原告は三次補正によつて作用効果(d)(案内保護効果)を追加したものの、本件公告公報の詳細な説明中の逆回転時についての記載及び図面の第3図はそのまま残存していることが認められる。しかし、三次補正により考案の要旨が正方向に走行するベルトを対象とするベルトクリーナーとなつたことは明らかであり(前記二3)、これに基づいて技術的範囲を確定することが可能であるから被告の前記主張は採用できない。

四 前記甲第二号証によれば、本件実用新案権の登録請求の範囲は請求原因1(一)記載のとおりであり、その構成要件は請求原因2(一)のとおり(1)(2)(3)(4)(5)(6)に分説するのが相当である(構成要件の点は(4)の「ベルトの進行方向側背面には」を除き被告の認めるところである)。

また、作用効果は前記甲第一、二号証及び前記三記載によれば、

(a) 上部先端に除去部材を設けた板体の下部でベルトの進行方向側背面にゴム等の分厚い弾性部材を固定した為、除去部材をベルトに圧接する状態でのクリーナーの配置が弾性部材を介して行え、ベルトの正回転に対して確実な掻取効果を発揮することができ、しかも弾性部材は板体を前後いずれにも傾倒させ得るので、正逆切換えを行つてもクリーナーは破損するような憂いは全くない(なお、逆回転時の掻取効果は三次補正により本件考案とは無関係のものとなつているから本件考案の作用効果と認めることはできない)。

(b) ゴム等から成る分厚い弾性部材を用いた為、クリーナーにおけるスプリング部は弾性、寿命、吸振性、耐候性に秀れたものとなり、圧縮、引張り、剪断、ねじりにも十分のバネ特性を利用でき、金属性バネのように腐食したり、短期間で疲労折損したり、バネの折損によりベルトに損傷を与えるようなことがなく、更に上下方向の圧力を弾性部材の変形により吸収して逃がすことができ、上下方向の圧力が掛つた場合でもクリーナーが破損したりベルトを損傷することがない。

(c) クリーナーは先端に除去部材を有する板体と、この板体の下部背面に固定した分厚い弾性部材との組合せによるものであるから、脆弱な箇所がなく極めて簡潔化され、これによつて製作加工の容易性と堅牢性が得られると共に、板体が屈曲形性を有さないのでベルトコンベヤに対するセツト箇所の制限が解消される。

(d) 弾性部材を板体の下部でベルトの進行方向側背面に固着し、且つ板体を弾性部材の巾とほぼ等しい巾としているから、板体が残留物の落下案内部材としての機能と、弾性部材の保護部材としての機能とを兼備しており、ベルトにより運搬された後に除去部材によつて掻取られた残留物は板体の対面側に案内されて落下し、弾性部材上に落下接触することはなく、したがつて長期使用に耐え常に弾性部材の好適な弾性機能を維持して掻取効果を保証することができる

ことであることが認められる((a)ないし(c)においては被告の認めるところである)。

五 被告がイ号、ロ号物件(別紙物件目録(〔編註〕省略)(一)、(二)の説明及び図面中後記認定の部分については争いがある)を業として製造譲渡していたことは当事者間に争いがない。

別紙物件目録(一)の技術的構成の説明中、板体(102)の上部先端に除去部材(103)を固着する、除去部材(103)の上部先端にチツプ(105)を固着する、弾性部材(104)が板体(102)の下部に固着されている、取付板(106)が弾性部材(104)の背面に固着されている、雄ネジ(107)を取付板(106)の背面に突設したとの各点及び意匠的構成の説明中弾性部材(104)が板体(102)の下部背面に固着されているとの点につき争いがあるが、弁論の全趣旨によりイ号物件であると認められる検甲第一号証の二によれば、右記載のとおり表現するのが妥当であると認められる。

また、別紙物件目録(二)の技術的構成の説明中板体(202)の上部先端に除去部材(203)を固着している、除去部材(203)の上部先端にチツプ(205)を固着している、弾性部材(203)が板体(202)の下部に固着されている、取付板(206)が弾性部材(204)の背面に固着されているとの各点及びロ号図面のうち第4図、第7図について争いがあるが、弁論の全趣旨によりロ号物件と認められる検甲第二号証の二、同検甲第五号証の一、二によれば説明については右記載のとおり、図面については別紙物件目録(二)のロ号図面のとおり表現するのが妥当であると認められる。

そして右事実によれば、イ号、ロ号物件の各構成は、請求原因5(一)、7(一)記載のとおりイ号物件においては(1)´(2)´(3)´(4)´(5)´(6)´、ロ号物件においては(1)´´(2)´´(3)´´(4)´´(5)´´(6)´´と分説するのが相当である((2)´(3)´或いは(2)´´(3)´´の「板体の上部先端には」との部分、(4)´或いは(4)´´の「板体の下部で」との部分を除き被告の認めるところである)。

更に、イ号、ロ号物件の右構成及び成立に争いのない甲第一三号証によれば、イ号、ロ号物件は作用効果(a)ないし(d)を有することが認められる(イ号、ロ号物件が作用効果(b)、(c)を持つことは被告の認めるところである)。

六 そこで、イ号、ロ号物件の各構成と本件考案の構成要件を対比すると、構成(1)´、(2)´、(3)´、(4)´、(5)´、(6)´、構成(1)´´、(2)´´、(3)´´、(4)´´、(5)´´、(6)´´はそれぞれ構成要件(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を充足することが認められる。また、作用効果の点もイ号、ロ号物件は本件考案の有する作用効果と同じ作用効果を有している。

そうすると、被告がイ号、ロ号物件を業として製造譲渡することは本件実用新案権を侵害することになるところ、被告は過去においてイ号、ロ号物件を製造譲渡しており、現在も右イ号、ロ号物件が本件実用新案権を侵害することを争つているから将来イ号、ロ号物件を製造譲渡するおそれが認められる。

七 よつて、原告の本訴請求は意匠権につき判断するまでもなく理由があるからこれを認容する。

〔編註〕本件登録実用新案に関する事項は左のとおりである。

1 原告は次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という)及び意匠権(以下「本件意匠権」といい、その意匠を「本件意匠」という)の権利者である。

(一) 本件実用新案権

考案の名称 ベルトクリーナー

出願    昭和四七年四月二〇日(実願昭四七―四七三一三号)

公告    昭和五二年六月二八日(実公昭五二―二八三〇八号)

登録    昭和五六年一月三〇日(第一三六六〇八七号)

実用新案登録請求の範囲

「ベルトの戻り側に設けられてベルト表面に付着した残留物を掻取るベルトクリーナーにおいて、ベルトに対し上向きに立ち上つた板体を有し、板体の上部先端には、ベルトの表面に摺接してこの表面に付着した残留物を掻取る除去部材が固定されており、また板体の下部でベルトの進行方向側背面には、該板体を固定部に取付けるための取付板を固着した且つ該板体の巾とほぼ等しい巾のゴム等の分厚い弾性部材が固着されていることを特徴とするベルトクリーナー」

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